今回は、乃村工藝社様から「展示会場に置く、廃材の器と観葉植物が融合したスタイリッシュなオブジェを作って欲しい」とご依頼をいただきました。
このご依頼を受けて私たちが制作させていただいた作品が「YADORI YADORARE」です。
この作品の土台には、大田区京浜島にある鉄の熱処理工場から排出された鉄くずを使用しています。
その他に、閉店した金物店の不要になった金属部品や使われなくなった金属製のシューツリー も使用しています。
このぐにゃぐにゃした鉄くずは、他の鉄製品を作る際に、製品同士がくっつかないようにするための緩衝材だったようです。何度も使用することで、このような形状になり、最後は使えなくなって廃棄されるとのことでした。
作品を制作する中で、この鉄くずを固定することがなかなか難しく、溶接する必要があるということで、京浜島内で溶接できる方を探しました。
まず、私たちのアトリエのご近所さんのムソー工業の尾針社長を訪ねましたが、土曜日ということもあり、残念ながら技術者が不在でした。
すると、尾針社長は、すぐさま京浜島の知り合いに片っ端から電話をしていただき、溶接をしていただける会社様をつなげてくださり、無事に鉄くずの固定に成功しました。
これが大田区京浜島の「仲間まわし」。
職人同士の信頼関係のもとに生まれる貴重な機会をいただいたことに感謝感激、京浜島の方々の温かいご協力あってこその作品となりました。
大田区京浜島は大田区でも”ものづくりの町” ”職人の町”としても有名な場所、一方で、近年では産業廃棄物工場が集まり”大田区のゴミ島”とも言われています。
そもそも「ごみ」とは「無用なもの、役に立たないもの、価値のないもの」のことを言います。
捨てられてしまうものにも、想像力と工夫で新 たな価値を見出すことができれば、「ごみ」に はなりません。 私たちは、花や植物を扱うフローリストで、普段はウェディングやイベント等の装飾 を行っていますが、花や異素材(時には一般的にゴミと言われるようなモノ)を掛け合わせて価値のないものに新たな価値を見出す活動をしています。
大田区京浜島の製造業を日本全国、世界に発信するため、微力ではありますが、京浜島の方々のお力を借りながら今回のような制作活動を続けていきたいと思っています。
「京浜島に花を!」
作品紹介 『YADORI YADRARE』
この作品は、まるで人工物の鉄に植物が 宿ったような、また、逆に植物に人工物が宿ったような、両者が主役となる絶妙なバランス感 をもっているのが魅力です。 今後、植物と人間の共生はますます重要に なってきます。 この作品を通し、ごみのない、 植物と人間が共生する、明るい未来を創造することを願っています。
*いつもdodoの活動を応援してくださるムソー工業株式会社の尾針社長
*この度オブジェを製作するにあたり鉄くずをご提供くださった有限会社三和熱処理様
製作風景